武生へ:『極 池上遼一展』:#3 「池上遼一 劇画の世界」:武生市中央図書館

from Otoshibumi:2019年8月9日、10日

 武生市中央図書館のフロアの一角に「武生公会堂記念館連携特別展示『池上遼一 劇画の世界』」と題して、池上先生が今まで発行したコミックスがずらりと並んでいました。その数60数点です。この越前市中央図書館が所有しているものの一部ということなのですが、すごいです。池上先生のファンを匂わせるうれしい展示内容でした。

何がすごいのか?ご説明します。

・池上先生のコミックスは、再発がたくさんなされています。その中で、ここに展示されている多くの単行本が【1st】版なのです。【1st】版とは、初めて単行本化されたコミックスのシリーズです。
 その単行本は、壁に発売順に展示されていました。さらに、「『池上遼一 劇画の世界』展示作品・資料 一覧」というタイトルの目録まで用意されています。

・池上先生の貸本時代の第3作目である『冥土で笑う奴』を掲載した魔像 60集(日の丸文庫)、ガロでの入選作『罪の意識』を掲載したガロ1966年9月号(青林堂)、商業誌へのデビューし、水木先生から独立するきっかけとなった『追跡者』を連載した少年キング1968年43号、45号(少年画報社)などなど、池上先生の初期の作品を掲載した貴重な単行本や雑誌が展示されています。(写真ガラスケース内右と正面左)これらの単行本や雑誌は入手が難しいので、一見の価値があります。

・池上先生の描いた短期連載や読み切り作品を収録した短編集が多く展示されています。しかも、古い『青春地獄』(東考社)や『土中に咲いた白い花』(若木書房)をはじめ、ほとんどの短編集が並んでいます。(写真ガラスケース内左 )

・長期連載作品については、全て網羅されていました。『信長』や『修羅雪姫』は未完の【1st】版の単行本ではなく、完結しているバージョンを紹介していただいているのもありがたいです。
 一点だけ追加させていただくと、『流月抄』は掲載誌が休刊になり、後日、別誌にて『ベスティア』というタイトルで再掲載された上に、追加分の作品も掲載されましたので、単行本の収集をされている方々には、こちらの方が完全版となるのでお勧めします。

 池上先生の単行本を集めている方には是非、見ていただきたい展示です。武生公会堂記念館からは、少し距離が離れていますが、これから、『極 池上遼一展』を見学される方は、是非、見学ルートに加えてください。

 私もたくさんの関連書籍、グッズを集めさせていただいていますが、4点ほど知らないものが、展示されている裏手に置いてありました。情報収集、バッチリできました。ありがとうございます。

 二日目に、再訪問させていただいたときに、この企画を担当していただいている職員の方とお話しすることができました。この図書館での展示もよかったですが、この企画を担当していた職員の方が『極 池上遼一展』も手がけられたそうです。どうりで。質の高い展示会であった理由は、ここにもありました。

大変、お世話になりました。ありがとうございました。

武生に来たらボルガライスの法被はこちらにありました。

2019年8月13日記